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旧式力織機の織物
こんにちは、新谷です。
古いものや昔ながらなやり方が
必ずしも良いということに直結はしないと思いますが、
本日のブログタイトル「旧式力織機の織物」だけは、
納得の良さを感じます。
糸一本一本の柔らかな質感を感じることができ、
洗うたびに感じれる風合いの良さ、
織物にもかかわらず、わずかな伸縮があり
それにより着続けていくと
生地が体に馴染みます。
(↑写真は、CONFECTのインターライニングリネン。
現在も稼働している、京都麻織物さんの旧式力織機で織られています。
30番手クラスの経緯糸によるこの生地は、CONFECTスタッフは「芯地」と呼称。
洋服を仕立てる際の副資材「芯地(しんじ)」をヒントにして織られていることが由来。)
旧式力織機で製織する際には、
緯糸(よこ糸)をシャトル(杼)で打ち込んでいくため
糸のテンションが弱くなり、わずかですが、
糸がリラックスでき、繊維の質感そのものが現れます。
(↑写真は、京都麻織物さんの旧式力織機。
木製シャトルが映っています。ぃゃ~、良き良き。)
アパレル産業も、時代が進むにつれて
生産効率性が重要視されてきました。
その過程で、
生地を織る織機についても
レピア織機やエアジェット織機といった
短時間で大量生産ができる
技術が生まれ、生産コストを下げることに
繋がってきたのは事実です。
生産効率が磨かれたことで
産業が発展し、それにより
関わる人たちの生活が維持されてきた背景は
それはそれで素晴らしく、敬意を持つべき。
一方で、
生産効率を追求することで
糸は、風合いよりも
織機のスピードに耐えうる丈夫さや
張りを持たせたテンションを一定に維持することが求められ、
それによって仕上がる生地も
風合いが弱く、均整的で、馴染みが弱い…
近年発達した高速織機で織られた生地と
比べてみると
旧式力織機にしか出せない生地の風合いや
質感があるのだと、実感します。
写真は、いずれも京都麻織物さん。
CONFECTやnest Robeの生地を多数製織して頂いています。
工場内は水蒸気を飛ばして、
糸に湿度を与えながら製織工程を行います。
糸の質感を保ち、
糸切れなどの劣化が起きないようにするためです。
もう再生産が閉ざされた旧式力織機(シャトル織機)。
このような廃盤のマシンから、
またそれを駆動させる生産者から
生み出される生地の良さを見つめ
継承することもまた大切だと思っています。
SLOW MADE IN JAPAN
の中にある思いも重なります。
写真は、
CONFECTのインターライニングリネンのジャケット。
こちらは上の写真でご紹介した旧式力織機で織られた生地を
使っています。
糸のテンションが弱い分、
水に通すと縮み、生地表面が隆起して細かな凹凸が生まれます。
それが陰影をもたらし、立体的な表情になります。
味がある、
良い質感、
風合いがある、
こんな言葉をつい表現したくなる生地感です。
これが堪らない雰囲気の良さなのです。
ぜひお客様の手と身体で、体感いただけましたら幸いです。