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TENDER Co. / JANUS VEST
こんにちは。
KITTE丸の内店スタッフの原です。
先日、喫茶店の窓際の隅にいたサンタの置物をみて、大ヒットしている -すみっコぐらし(映画)- が過りました。
子供向けの作品と聞きましたが、大人もはまっているだとか。
ただ、このサンタからはクリスマスらしい可愛さとは別に、哀愁というか経年による味わい深さがございました。
店内の隅側にも独特な雰囲気を纏ったウェアが掛けられております。
本日はこちらをご紹介します。
JANUS VEST ( Black ) 45,000 yen + tax / TENDER Co.
そうです。TENDER Co. です。
今作も "らしい" 出来映えとなっています。
改めて TENDER Co. とは。
イギリスの蒸気機関車時代のワークウェアなどから着想し洋服や小物、食器類に至るまでその要素を反映させている英国ブランド。蒸気機関車の石炭などを積むテンダー (トラック）、その素材には十二分に鍛えられた頑丈な鉄が用いられます。TENDER Co.はテンダーという丈夫で強い頑丈性を製造から着用に至る物作りの中でその要素を落とし込んでいます。
デザイナー : William Krol 氏はEVISUジーンズのヨーロッパライン、ユーロ エビスジーンズ(EURO EVISU)にてデザイナーを務め、その後イギリスのサヴィル・ロウ(Savile Row)でテーラーリングの技術を学び、岡山県児島でデニム生産を習得。パターンはデザイナーのWilliam氏が引き、縫製はイギリス、染色はフランスとイギリスで行われています。
今作はクルーネックベストとCONFECTでは馴染みのある形でありますが、TENDER Co.らしいアプローチがところ狭しと施されてあります。
綿100%の厚地。
不均一な太さの糸から生まれる起毛。
モールスキンなどとは異なるタッチ。
肉厚であるも軽く、密度を詰めつつふっくらとした仕上がり。
といいますか相変わらず衣服らしからぬ生地感です。
モレトンと呼ばれる生地をベースとしたTENDER Co. のオリジナルファブリック。
本来、モレトンの用途はスーツなどをプレスする際、プレス機のローラーなどに付けられている布になります。
(厳密にはモレトン生地の完成品でなく、手前段階の生地が今作のベースとなります。)
日常的には目に触れない為か、店内奥隅に掛けられてあっても、生地の感触を確かめに足を運ぶお客様が多くいらっしゃいます。
オリジナルのブラス釦を採用。
マットな黒のボディとのコントラストが一層ベスト自体の存在感を引き立たせてくれます。
すでにブラスならではの色ムラが露になっており、ここから青錆びなどの経年変化も楽しんで頂けます。
必見箇所であるポケットにもTENDER Co.らしさが。
前見頃の左右ずつに大きなパッチポケットをステッチ&リベットで施してます。
またポケット中央に走るステッチによって、計四箇所のポケットスペースがあります。
ポケットの大きさも十分確保されており、携帯、二つ折り財布、鍵、ハンカチなど近場に出掛ける際はバッグいらずになれるかと思います。
実用性も兼ね備えているのがTENDER Co.の嬉しいところです。
普段見掛けることの無いポケットデザインはデザイナーWilliam氏が考案するオリジナルのもの。今作のポケット製作の背景に、ローマの神話に登場するヤヌス神 (Janus) から着想を得られたものになります。
【画像：World Coin Gallery より 引用】
調べたところ。
ローマ神話では出入り口と扉の守護神(門番)として登場。
画像の通り、双面の顔を持つ神様です。
ローマのコインで採用されている他、英語の一月を表すJanuaryの語源はヤヌス (Janus)からきているなど、名誉ある神様であることが伺えます。
毎度のことながら、William氏の着眼点には驚かれされます。
そういった背景を持つポケットを形成する為、繊細かつ力業な縫製作業を見て、我々スタッフが唸るのが毎シーズンの恒例となっております。
前たてとポケットを同箇所に縫製する関係上、生地を三枚重ねて打ち込むこととなります。
上述の通り、生地は厚く頑丈であるため、針を通すのは一苦労だと思われます。
大量生産では出来ない、ブランドが思う拘り、温もりを感じる手間がございます。
個人的にこういった襟元のデザインはバンドカラーシャツなど、首に沿った高さのある中衣と合わせたくなります。
ただ、CONFECTのクルーネックベストと襟元を比較すると、少しタイトめな作りでしたので、あまり着こまずにスタイリングを組むことをお勧めします。
スーピマコットンツイルバンドカラーシャツ ( Khaki ) 25,000 yen + tax / CONFECT
シルエットも非常に独特な印象を受けます。
ルーズウェアらしい身幅と股上ほどの着丈から反比例するように襟元とアームホールはタイトな作りです。加えて体を包み込むような立体的なパターンとなってます。
そこから生地感や各ディテールによって、質実剛健という言葉が相応しいベストとなっております。
恐らく、「アウターベスト」の類に当てはまるのでしょうが、ダウンベストやハンティングベストとも違うカテゴリーに感じるのがまた不思議です。もはや「袖を切ったアウター」のほうがしっくりきます。
けして着こなし易いとは言えない代物ですが、主役級といえるインパクトは文句なしの出来前と言えるでしょう。
独自の世界観を繰り広げるTENDER Co.には、毎度のことながら目を見張るほどの衝撃を受けております。
頑丈な生地、繊細なステッチ、ユニークなデザイン。
様々な要素がひしめき合っているのを身をもって感じます。
TENDER Co.流のクルーネックベストは 非常に "らしい" 内容となっておりました。
ちなみに、TENDER Co. の他に店内角にはこういった上物もございます。
DEUTSCLEDER BLOUSON ( Black.Brown ) 88,000 yen + tax / FRANK LEDER
丸の内にFRANK LEDERが到着しました。
それもジャーマンレザーとTENDER Co.に負けず劣らずのパンチ力をもった逸品です。
私が入社する二年半前頃、丸の内店にもFRANK LEDERが入荷していたとのことらしく、今回は久方ぶりの丸の内店での展開となりました。
両サイド角にFRANK LEDERとTENDER Co.が...圧巻です。
先日、銀座店ブログ 【FRANK LEDER / DEUTSCLEDER BLOUSON】にてご紹介しておりますので、ご覧頂ければ嬉しく思います。
いかがでしたでしょうか。
目立つような見せ方と言え、店内奥片隅に配置するというのはお客様の手に取られにくい場所です。
そんなアウェーとも言える場所でもしっかりと結果を残すTENDER Co. は流石です。
(実は同素材のジャケット型を同じ箇所に置き、先日完売しました。)
改めて、TENDER Co. の惹き付ける魅力というのを感じました。
間もなく本格的にクリスマスシーズンを迎えようとしております。
こういった機会に自身へのプレゼント候補にしてみてはいかがでしょうか。
本日は以上になります。
ご来店お待ちしております。
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